5.


Writer 遠夜



「お腹いっぱい〜・・・」
「・・・・そりゃ、あれだけ食べればな・・」

 満足そうに言ったオムレットに、シリオンは呆れたように返答した。
 所狭しと並べられた皿の数々は、多種多様で、全てがきちんと最後まで食べ残されずに綺麗に片付いている。

「ううーん・・・でも、アレ食べたかったなー」
「・・・・・・まだ、食べる気・・・?」
「いやいやvだってさー、アレは今の時期無いんだもん。・・後もう少しかかるのかなぁ・・・?」

 あれだけ食べておいて、まだ足りないのか。少し残念そうにオムレットは言った。
 ふと、会話が途切れたせいか、手に持っていたルアー(飲み物・フルーツティーのようなもの)に口をつけつつ、徐に窓の外を眺めた。
 店外のほうが明るいのか、少し眩しくて目を細める。

「んで、今度はいつ行くの?調査」
「明日。・・今日の残りで、色々と図書館辺りを見て周りたいし」
「そぉ?・・・私、行かなくて良いよね?」
「・・・・また追い出されたいのなら着たら?」
「ひっどぉ!いーもんっ行かないさ!」

 オムレットの言葉に、シリオンは微笑を浮かべ、手に持っていた本を閉じた。

「あんたは他の経由で調べといて。・・どうせ、このまま帰ってもやる事ないんでしょう?」
「わるかったわねっ!どーせ、暇人ですよー!」

 言って、オムレットはいじけたように窓の外の方に顔を向けた。
 シリオンはそんなオムレットをおいて、笑みを浮かべつつ、席を立った。

「って、あ!・・ち、ちょっとまってよ?!」

 おいていかれたオムレットは、少し残っていたルアーをぐいっと一気に飲みほすと、急いでシリオンを追いかけた。




「・・・って、もーいないし・・・?」

 店を出たのは良いものの、右を見ても左を見ても、その姿がうかがえなく、困り果てた一声をオムレットは吐いた。

「まいっか。どーせ、明日また会うって決めてるし。・・・そーだ!またあの近くに出来たパン屋行ってみよー♪」

 あっさりと諦めて、お気に入りに登録されたパン屋へと足を向かわせた。




 一方、シリオンは早速大陸図書館にいた。
 顔見知りの司書に話を通し、第3重要書類の置いてある書庫に通してもらう。
 シリオンは、この図書館では全て顔パスで、全ての書物を見れるのだ。・・・少々、例外はあるが。

 数年前、ある重要所の解読を行ったことがあった。
 そのとき、その報酬として、シリオンは『全ての本が読みたい』と言う条件付で行ったのだった。
 当然、依頼主であるシリオンの上司、上層部はそれを渋ったが、仕方なくOKを出さざるを得なかった。
 当時、どのような理由かシリオンは知らないが、急を要することだったらしい。
 ならば、他の者にやらせれば?と思うのだが、その書物の字体が、シリオンの師匠の専門分野だったらしい。
 が、そのときすでにシリオンの師匠はいなく、学内ではシリオンしかそれを解読できる者が他にいなかったのだ。
 だから、結局はシリオンの条件を呑み、任せるしかないという決断が下ったのだった。

 ・・・と、その話はそこら辺りでおいておいて、ともかく、目的の調査書にシリオンは行き当たった。
 それは、薄い、たよりない数枚の紙に、それより少し厚手の表紙でできているものだった。
 魔法が掛けてあるため、作成された当時の状態とそう変わりはないだろうが。
 表紙に、『幻の森 初期調査記録書』と明記してある。
 中を見ると、間を空けて、流麗な字で数行かかれていた。

(・・・・この字・・どこかで見たことがあるような・・・)

 ペラペラとページをめくる。
 と、最後のページまで見て、その手が止まった。

(・・作成者名が、消されてる?)

 普通、こういう書類には、最後に簡単にサインでもあるものだ。
 だが、この調査書は、最後の部分が、インクが飛んでいて、何が書いてあったのか全く分からない。
 それをシリオンはいぶかしげに思いながらも、ともかく内容を先に把握することにした。



 







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